スゴ技

平成23年度秋基本情報技術者試験【問9】（その2）

Blog： | 2011.11.03

ブログの次男こと宮本です．

前回に引き続き，今回も秋の基本情報処理技術者試験午後問題のC言語解説です．設問1はかなり容易でしたが，それを踏まえての設問2となります．少しややこしい部分はありますが，高度な文法事項を扱っているわけではないので，じっくり考えれば解ける問題かと思います．

【設問2】プログラム中の空欄の穴埋め問題です．設問1が有限小数だけを対象としていたのに対し，設問2では無限循環小数も範囲に含みます．整数を整数で割っているので，答が無理数となることはありませんが，仕様である小数点以下100桁に収まらない可能性は十分にあります（もちろん，分母が3桁以上の場合ですが）．これらのことより，答の表示形式は，①割り切れる，②100桁以内に循環する，③その他，となります．その他とは，循環はするが循環節が100桁を超える場合です．前述のとおり，無理数は存在し得ませんので，この3通りのいずれかに当てはまります．

では空欄を見ていくことにしましょう．空欄 d は，while の継続条件を考える問題です．逆に考えれば，終了条件は上記の表示形式①②③のいずれかを満たした場合となることに着目しましょう．まず第1の継続条件「 x > 0 」は，「余りがある」という意味です．裏返せば，「余りが無くなれば（割り切れれば）終了」という，①の条件になります．第2の継続条件「」は，「最大桁数以内なら」という意味です．これも裏返せば，「最大桁数を超えれば終了」ということになり，③の条件に相当します．残ったのは②の条件ですが，意味としては「循環節が見つかれば終了」となるようにします．継続条件に書き直すと，「循環節が見つからなければ継続」となりますので，循環節を表す変数 startRepeat に関する選択肢の中から選ぶようにします．この変数の初期値は -1 ですので，-1 が続いている限り，循環節が見つかっていない状態を表しています．よって答えは，キの「 startRepeat == -1 」となります．

空欄 e は，for 文の継続条件に関する問題です．条件を考える前に，ループ内の処理を見てみましょう．配列 xHistory[] は各桁における剰余（次の桁への余り）を記憶しています．if 文は，「過去に同じ余りが存在したかどうか」を調べています．なぜなら，同じ余りがあれば，そこからは必ず以前と同じ循環を繰り返すからです．この条件が成立すれば，「 startRepeat = i 」，つまり，その桁から循環が開始されることになります．求めたいことは，「 i = 0 」からどこまでを調べればよいかということです．現時点までの計算桁数を記憶しているのは変数 ri ですので，0 から ri を超えない範囲で判定をすればよいことになります．よって答は，ウの「 i < ri 」となります．

空欄 f は，if 文の条件に関する問題です．実行内容は，記号 ‘[‘ を表示することで，これは循環節の開始箇所を表しています．プログラム中では，小数点以下第1桁を0，第2桁を1，…というように，実際の桁数と変数の値が1つずれる形になっています．表示したい箇所は「循環節が始まる直前」で，if 文より putchar 文の方が後に記述されていますので，startRepeat と i が一致した個所で十分です．よって答は，アの「 i == startRepeat 」となります．

空欄 g は，実際に各桁の数字を表示する部分です．ただ，表示命令は putchar ですので，数字を文字として扱う必要が出てきます．配列 xHistory[] が記憶しているのは各桁の数字そのものではなく，直前の桁での余りになります．ですので，計算式としては，「直前の桁の余りを10倍した値を y で割った商に文字 ‘0’ の ASCII コードを足す」という，文字に表わすと少し複雑なものとなりました．よって答は，カの「 ‘0’ + xHistory[i] * 10 / y 」となります．

いかがでしたでしょうか？多少考える部分があるとはいうものの，文法事項としては C 言語の半分も進んでいない状態で解けると思います．例年のような，複雑なポインタや構造体も含まれていませんし，技術レベルとしては C 言語検定 3 級の範囲と考えてよいでしょう．もしかしたら，試験会場で見てからでも十分に解けたかも知れないですね．やはり，今回の難易度は高くなかったと判断するのが妥当だと思います．