児玉@IT分野教員です。
IT分野では、私たちの生活の身近なところで日々使われているコンピュータシステムやWebアプリケーションを設計し、開発する勉強を日々行っています。
卒業生はシステムエンジニアやWebエンジニアなどとして就職をしています。もちろん国家資格の取得にも力を入れているので、資格を取りたい人には最適な分野です。
ヤツが……来る――!
唐突ではありますが、私は低血圧……というには厳密には異なるかもしれませんが、やや低めな血圧に分類される人間です。具体的には、血圧でいうところの上の数値が3桁に達しておりません。
まぁ、医師に曰く「血圧は上と下に差があれば(低い分には)大丈夫」とのことですので、普段の生活の範囲においては特に不自由なく暮らしている次第です。
そう、ヤツが来ない限りは。
(気象庁の台風情報より、2017年7月5日10時頃のものを引用)
平穏な日常に突如として現れ、ペースを乱しては去っていく「台風」。
……この前3号が日本に上陸し、案の定、気分を悪くした児玉先生が授業を終えた後、職員室にてグロッキーな姿で発見されるという事件がありました。
神戸電子のある兵庫県神戸市では特に警報が出ることも被害もなく、授業が滞りなく進んだことは不幸中の幸いでしたが、作業効率が落ちてしまったことは否定できず、歯がゆい思いをしたものです。
結局その日は定時ダッシュ(走れるほどの元気もありませんでしたけれど)で家に帰り、家の中でただひたすらにひっくり返っておりました。
我々(というか、児玉先生)は宿敵台風に、果たしてどう立ち向かうべきなのか……?
今回、台風に関して、思考の経緯の可視化→対応策の立案をIT分野的に考えてみました。
思考の経緯を可視化する
人間にはできることと、できないことがあります。
台風の発生を未然に防ぐ!……というのはさすがにできないことに含まれると思いますので、台風が発生した際に個人として取るべき行動は何かをIT分野的発想法に則って考えてみたいと思います。
せっかくなので、思考の経緯を可視化してみることにしましょう。
■STEP0:まず、紙とシャーペンを用意します
え? なんで? IT分野的に解決するんならまずパソコンを用意するんじゃないの?……と思われるかもしれませんが、逆です。
IT分野の人間たるもの、想定される状況に応じて常に最善となる手法を模索しなければなりません。
何かを計算する、あるいは記録として管理する分には手書きよりも(表計算ソフトなどの)ツールを使った方がやりやすいですが、今回のように自由な発想で何が結論として得られるか分からないモノを可視化する場合、紙に書いた方が分かりやすく、また思考の過程を自身が理解するのに役立ちます。……と私は思っています。
発想法の補助を行う便利なツールも世の中にはたくさん存在するのですが、以下のようなデメリットがあるのですね。
- ツールの使い方を理解するのに時間的、労力的コストがかかる。
- ツール作成者が特に意識しない項目については触れられない場合が多く、かえって不便になることがある(神戸電子に限っても、学生達が開発したツールは金銭面の問題を考慮できていないことが多く、「まだまだだね……!」とコメントを返すこともしばしばあります)。
- ツールを使っていくと、段々途中から自分自身で考えているというより、ツールに使わされているような感覚になってくる。
「ワガママかよ!」というのが率直な感想かもしれませんが、大体においてユーザというのはワガママなものです。ツールの使われ方も熟知して初めて、IT分野っぽい気がするのです。……たぶん。
■STEP1:台風が来たら何が起こる?(事実の確認)
ということで紙とシャーペンは用意し、考える前準備が整いました。
まずは冷静に状況を把握します。昔の偉い人も「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」とおっしゃっていますので、分析はやっておいて損しないはずです。
むしろ、ここをまともに考えないでいると、
「台風が来た、どうする!」→「ジャパニーズKIAIで乗り切る!」
……としか言えなくなってしまいますからね。
確かに最終的にはKIAIに頼らざるを得ない結果になるかもしれませんが、それにしたって考えるべきことはあるはずです。
ということで用意した紙の真ん中に事象(今回の場合は『台風が来る』)を書き、事象によって何が起こるかを適当に書き出してみます。
この書き出しに関しては厳密にやろうとすると「連関図法」等の手法に則れば良いのですが、まぁ自分だけのことですし、細かいルールは気にせず、思いついた通りにやってしまえば良いです。
ということで、台風が来た!……ときにどんなことが起こるか、周囲に書き出してみます。「台風が来たら○○」の○○の箇所を書いていくとスムーズです。
ある程度大元の台風に対して書き出すことができたら、より一層連想させていきます。
台風が来たら風が吹く。風が吹いたら……電車が止まる……!などなど、思いついたものはバシバシ書き込んでいきましょう。
この過程で自分自身が何に興味があるか、あるいは逆に何に意識が向いていないかが分かったりします。
また、くだらないなぁと思うことでもなんでも書き込みましょう(意外と、とてつもなくしょうもないことが、他の問題を解決する糸口になることもありますので)。
今回は軽く、ということであまり項目を多くしていませんが、とことんまで悩み抜いてみると結構面白いです。何より、図が大きくなると達成感がありますし……!
■STEP2:何が不安?(問題点の洗い出し)
ある程度図が大きくなってきたら、書く内容を切り替え、事実に対して不安な点や気になる点を書き込んでみます。
ここでもとにかく連想的に気になることを書きなぐることがポイントで、しょうもないかどうかは気にせず、ひたすら書きまくってみましょう。
STEP1との境界は正直てきとーで良いかと思いますし、書いている途中でSTEP1での漏れに気が付いたらしれっと書き足して良いとも思います。
あ、ちなみに矢印の向きも結構てきとーです。
この作業はこだわりだすと本当に際限がなくなってしまいますので、気が済んだところで一区切りつけても良いと思われます。
用意した紙を全部埋めつくしたら終わり……!という制約を設けても良いかもしれませんね。
■STEP3:台風が来たときにやることと、その時期(対策の立案)
ここまで来れば、大体何が問題なのか、自分の中でもイメージが明確にできていると思います。できるだけ簡潔にまとめてみましょう。
児玉先生の場合、例えば以下のような問題があるようです。
- 台風が来て、授業が中止になると授業進捗に不安が出る。特に課題の提出期限や資格対策はシビアな可能性も。
- 台風が来ると、傘代や宿泊代としてお金がかかる可能性がある。
- 台風が来たときに仕事をすると、頭痛い&気分悪い状態でかえってミスが増え、余計に仕事を増やす可能性がある。
- 一方で、台風が来た時には建物の見回りなど、普段の業務では発生しない内容が増える。
- 台風が来たら大雨が降り、自室の窓が閉まっているかを確認するためにカーチャンが部屋に入るかもしれない……!
……なんだか最後の一つがとてつもなくしょうもないように思われるかもしれませんが、これが“児玉先生的には”、“気がかりで”、“重大な問題”ということになります(まぁ、自室があまり整頓できていなくて散らかっているというだけの話なのですが)。
ほとんどの人にとってはしょうもない問題であったとしても、本人にとっては一大事……そんなこともあったりなかったりします。
対応策を考える
では、せっかくなのでこの「カーチャンが部屋に入るかもしれないリスク」について、対応策を考えてみましょう。
ざっくばらんな対応として、以下の3つが考えられます。
- カーチャンを部屋に侵入させなくて良いようにする
- カーチャンに部屋に侵入されても問題ないようにする
- 特に対策せず、カーチャンに部屋に侵入された後、対応する
1番はそもそもの侵入理由をなくしてしまえば良い、という考え方です。
今回の件では、「100%確実に窓を閉めて出発し、その旨をカーチャンに伝える」ということでカーチャンに安心してもらいます。
……でも、「100%絶対窓閉めてるから大丈夫、だから絶対部屋に入らないで!」って言うと確実に怪しまれますね。この手段はあんまり良い手段とは言えなさそうです。
2番はカーチャンに怒られる懸念をなくす、すなわち部屋を片付けてしまえば良い、という考え方です。ある意味最もシンプルにして確実な対策といえます。
あれこれカーチャンに侵入されないよう画策するよりも、素直に片づけをした方が色々と楽、ということです。
3番はカーチャンに部屋に入られるリスクを甘んじて受け入れ、怒られるなら素直に怒られよう、という考え方です(ちなみに、この考え方は「リスク保有」と言われるもので、これもITエンジニアが取るべき立派な行動の一つなのです! ……本当に立派なのか?)。
でも、もしもの際でも怒られるのは嫌なので、この方法は採用を見送ることとします。
……ということで、今回は2番の対策を採ることにしましょう。
となると実施時期はいつか、という話になるのですが、よくよく考えると「部屋を片付けておく」というのは時期を選ぶ対策ではありません。
台風が来る・来ないに関わらず、普段から部屋を片付けておけば良いのです。他の問題についても対策内容と、時期を考えてみましょう。
対策の時期ごとにやるべきことを考えてみます。
【普段からやっておくべきこと】
- 部屋を片付けておく。(
カーチャン対策普段の心構えとして) - 余裕を持った授業進行にしておき、いざというときに調整できるようにしておく。(何もトラブルなく授業が進んだ時にはむしろプラスアルファで追加の内容をやれば良いのです)
- 傘代や宿泊代といった急な出費にも対応できるよう、財布の中身はある程度充実させておく。
【台風が来た時にやるべきこと】
- リアルタイムの状況確認(警報の状況、交通機関のマヒなど)
- 建物の見回り
- 授業が中止にならない限りは授業をKIAIで頑張る
- 服が濡れてしまったときのために、替えの服を用意しておく
- 上記以外のものは逆に頑張らない(難しい仕事や判断などで、後日に回せるもの全般)
【台風が過ぎた後にやるべきこと】
- 台風到来中に諦めた仕事や判断などのフォロー
まとめ
こうやって書き出してみると、意外と台風が来た時というよりも、普段から習慣としてやっておくべきことの方に対策の主流があると気づかされます。
STEP1のときに触れた「KIAIでなんとかする」というくだりも、頑張らなきゃいけないのは授業と見回り、状況確認くらいなもので、他の内容は大体後日回しにできることが分かります。
その代わり、後日のフォローはしっかり行うこととしましょう。これらの内容を教訓として心に刻んでおけば、次に来る台風の際にはまだマシな立ち回りができるはずです……! そもそも体調の方を改善しろ、という根本的な話もあると言えばあるんですけど。
以上、ざっとではありますが台風が来た時の対策を、IT分野的に考えてみました。今回のような考え方は台風に限らず、ありとあらゆる事象について使いまわすことができますし、むしろユーザニーズに対応したシステムを開発しようとした場合、これらの内容は考えておいて損はありません。是非自身の身近なテーマで、思う存分悩んでみてください。
それでは、またの機会まで。
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