3DCGアニメーション学科の教員の源田です。
3DCGアニメーション学科では、3DCGソフトMayaを使ってのモデリング技術習得や、動きをつけるモーション練習、AfterEffectによる動画編集の方法などを、就職に向け日々勉強しています。
皆さんは「美術館に行く」と聞くと、どんなイメージを抱くでしょうか?
映画館やコンサートとは違い、美術館に行くにはそれなりの「心構え」が必要な気がしますよね。事前に作品についての知識を仕入れ、会場では無口に「分かったような」顔をして、絵の前に立たないといけない。と、思っている人もいるかもしれないですね。
ところが、現在、アート鑑賞についてはVTCという「教育カリキュラム」が注目され、普及しています。小中学校の美術の授業で体験されたり、VTCを導入している美術館に行った経験がある方もいるかと思います。
美術館賞の教育カリキュラム「VTC」
VTCとは「Visual Thinking Curriculum」の頭文字を取ったもので、1980年代にニューヨーク近代美術館で開発された美術鑑賞プログラムです。
少人数のグループで作品を見、「ファシリテーター」(支援者・促進者を意味します)といわれるガイド役がみんなの見方を引き出し、あるいは意見交換を通じて鑑賞を深めることを目的にしています。
予備知識は必要ありません、作品を観た時の感想、そこから想像されることなどをもとにして、グループで話し合いをしながら、その対話を通して観賞が行われるというものです。
こうした、美術についての知識を介さずに作品を楽しむ体験を他人と共有することを通して、想像力や自分で考える力を育てること、自分の考えを話す力や他人の話を聴く力といったコミュニケーションの能力を育てることが大きな目的になっています。
VTCでは「知識」があると自由な鑑賞が阻害されてしまうので「知識なんか百害あって一利なし」と否定している人もいます。それは、知識を学ぶこと自体が自己目的化して、作品を見ても知識を確認するにすぎなくなるからといった理由なのでしょう。
知識とは、自分ではない他の誰かが発信したものだから、知識に縛られていては主体的な鑑賞をしていることにはならないということです。
エグゼクティブは美術館に集う
『エグゼクティブは美術館に集う』著者 奥村高明
この本では、VTCを前提に美術鑑賞は非常にアクティブでクリエイティブな行為ととらえています。それ故、美術鑑賞は「創造性」を高めることができます。
著者は「これは私の推測ですが、社会にインパクトを与えるほどの成功をするには「創造性」を鍛えられるかどうかが非常に重要になるのではないでしょうか。」と語っています。
本校も、”この創造性に注目”しています。なぜなら、知識だけでなく人間力と創造性を、今後の社会を行き抜くために必要なスキルと考えているからです。
最後に、神戸には「神戸ミュージアムロード」という道があります。阪急王子公園駅近くの「横尾忠則美術館」から、HAT神戸にある「兵庫県立美術館」までの道です。
他にも施設がありますので、休日に友達と”人間力と創造力”を高めるために歩いてみてはいかがでしょう。
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