建築インテリアデザイン学科担当の田村です。
建築インテリアデザイン学科では、「建築物=建物の全体」と「インテリア=建物の内部空間」の設計とそのデザイン手法について学び、建築業界において即戦力として活躍できる人材の育成を行っています。
また、建物単体だけでなく、その周辺環境や利用する人の行為などにも目を向けながら、総合的にデザインすることを目指しています。
今回は、建築インテリアデザイン学科で2月7日(水)に行われた、2017年度末の成果発表会「DigitalWorks」についてお伝えしたいと思います。
DigitalWorksとは
「DigitalWorks」とは、年度末の成果発表会のことです。
学生はもちろんのこと、先生方も皆さん大忙しです。この時期の気分を私なりに一言で表すと「心地よい忙しさ」…そう、イライラした感じじゃなく、大変だけどワクワクした感じで、終わったときは「やり遂げた!」っという感じなのです。
建築インテリアデザイン学科の後期の課題テーマ
建築インテリアデザイン学科では、毎年1年生が後期(10月~2月初旬)に取り組んだ課題制作の成果を発表するのが恒例となっています。
課題テーマは毎年変わるのですが、今年度は、建築コースが「週末住宅」の設計、インテリアコースが「北野館エントランス」のリノベーションをテーマに取り組みました。
建築コース「週末住宅」
建築コースの「週末住宅」というのは、言い換えれば「別荘」です。
普段生活する家ではなく、休みの日に過ごす家だと思ってもらえれば想像がつきやすいでしょうか。
場所は淡路島で、海が一望できる緑豊かな立地にある夫婦のための週末住宅を計画するものでした。
インテリアコース「北野館エントランスのリノベーション」
インテリアコースの「北野館エントランス」とは、神戸電子の数ある校舎の中のひとつで、オープンキャンパスや体験入学でも使用されている建物の1階部分をテーマとしたわけです。
ここに学生たちにとって心地よい新しい空間を提案するものでした。
共創授業「ヒラメキデザイン」からの応用
今回は、例年とは違う取組みとしてグループワークを行いました。
今までにも全く行っていなかったわけではありません。
しかし、今までのようにグループで設計を単に行うものではなく
- 建築なら「生活における行為」
- インテリアなら「学内での日頃の体験」
などに着目して、その中での発見や設計上ポイントとなる部分を基に課題に取り組みました。
これは、1年生が前期から行ってきた「ヒラメキデザイン」という授業の中で学んだ手法を、建築の授業の中で応用したものです。
ヒラメキデザインとは
2017年度から神戸電子専門学校で始まった「共創」をテーマとした授業。
これからの社会変化に対応するための「生き抜くチカラ」を身につける為、アイデアの発想法やデザイン思考、UX(ユーザー経験)などを基軸とした「KDデザイン手法」を学ぶ。
グループワークでの発見が設計の軸になる
10月の最初の授業でグループワークを行い、学生たちに意見を出し合ってもらいました。
建築では
- 「家に帰るとまず何をしますか?」
- 「家の中ではどんな行為を行いますか?」
インテリアでは
- 「いつもどんな行為が行われていますか?」
- 「心地よい場所はどこですか?」
など、私の投げかけに対して意見を出し合っています。
各グループが発表を行い全体で意見を共有することで、自分たちのグループでは出てこなかった意見や考え方の発見にもつながりました。
設計する上での重要ポイントの洗い出し
次に行ったのは、実際の敷地や空間での特性、設計する上での重要ポイントの洗出しです。
建築にもインテリアにも言えることですが、全て同じ環境や条件はなく、どれもオンリーワンなのです。
その場所性を読み解くワークとして、建築設計では非常に重要になるものになります。
グループでは敷地や空間上で大きく捉えた場合にどのような特徴があるのかを話合い、その意見を基に個人でのワークをスタートしました。
上の写真は、グループワークでの意見を整理し、さらに自分の設計テーマにおけるポイントを絞っていく段階での一例です。
現実社会に置き換えてお話をするならば、
- 設計事務所のスタッフたちがあるプロジェクトについてグループワークを行う
- プロジェクトの方向性をある程度抽出
- 担当スタッフが内容を整理
- 具体的な設計が本格的にスタート
…とでも言いましょうか。
所長さん(先生)と設計スタッフ(学生)による共創
具体的なスタートを切ってからは、個人ワークになるのですが、単なる芸術作品をつくるわけではないので、独りよがりに設計はできません。
建築設計は、クライアント(お客様・発注者)の想いをカタチにする重要な仕事ですから、その点については我々も指導する上で特に気を付けている部分です。
個人ワークでは、各先生が担当グループの学生たちの作品を指導します。例えるならば、先生が設計事務所の所長さんで、学生がそこに所属する設計スタッフのような関係性と思っていただければいいのかなと思います。
学生はアイディアを基に図面をつくり、図面を基にCGをつくります。教員は、CGや図面を確認しながら学生の考えを聞き出し、改善点があればスケッチなどで修正を指示します。そのような打合せを繰り返し繰り返し重ねていきます。
2月7日、いよいよ「DigitalWorks」本番!
DigitalWorksでは、選抜者が順に発表を行い、専任と非常勤を交えた16名の教員陣がその作品に対して講評を行っていきます。
ここで指摘された内容は、春以降就職活動を行う際に必要となってくる「ポートフォリオ」と呼ばれる作品集に掲載する上でのブラッシュアップへと繋がります。
学生たちにとってこの大勢の人の前での発表は、緊張の時間なわけですが、昨年の春まで建築をほとんど知らなかった人たちとは思えないほどに、自分たちの考えた事をしっかりと伝えようと頑張っていました。
発表者の皆さん、本当にお疲れ様でした!
主な学生作品
次年度に向けて
今年度は、昨年度までに比べて作品のバリエーションも豊富で、全体的にもプレゼンテーションとしての図面やCGの出来栄えは向上しているという声が、教員陣からは聞こえてきました。
しかし、まだまだ改善の余地はあるなというのが私の率直な感想で、教科担当としては次年度に向けて更なるレベル向上が必要だなと反省しつつも、良かったところは確かにあったので、その部分は素直に認めよう…などと様々な思いを巡らしつつ。。
貴重な1日となったことに変わりはありません。
1年生の皆さん、本当にお疲れ様でした!
春からは2年生として、「建築新人戦2018」に向けて再びご一緒することになります。
本年度以上に良い作品がつくれるように共に頑張りましょう!
それでは、今回はこの辺りで…
またお会いしましょう!
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