みなさんこんにちは、生島です。
神戸電子専門学校では現在、異なる分野同士で共に学び共に創る「共創」をテーマとした活動を行なっています。
ところが、普段学生に専門的な技術を教えている先生でも実は違う分野のことはほとんど知りません。専門性が高くなるということは狭く深く掘り下げることだからですね。
じゃあ他の分野が勉強している内容を先生自身で体験してもいろいろな勉強になるのでは!?
先日は3DCGアニメーション学科の授業を体験しましたが、今回はサウンド分野の市尾先生、3DCGアニメーション学科の山本先生、ゲームソフト分野の生島の3人でデジタルアニメ学科にお邪魔し、土居先生の授業を受けてみました。
デジタルアニメ学科の実習室へ
本日やってきたのは北野館にあるデジタルアニメーションラボ。
神戸電子の実習室なのにパソコンがほとんどないのが新鮮ですね。
えっ、今のライトボックスってこんなに薄いんですか? 私のイメージでは高さ8センチぐらいの箱型だったのですが……。
LED化の波をこんなところにも感じてしまいました。
その横に置かれているアイテムがいかにもアニメーターっぽいです。
羽根ぼうきってホントに使うんですね。赤や青の色鉛筆は何のためでしょうか?
2つの原画の間に存在する絵を描いていく
今日の体験授業では2枚の絵がスムーズにつながるよう、その間にある「中割り」を描いていきます。
アニメ現場の特集でもよく見かける作業ですね。
ここでライトボックスの電源をON! 2枚の絵が透けて見えるので、それを参考に中間の絵を描いていきます。
それぞれの紙の上端には3つの穴が空いているので、ここに「タップ」と呼ばれる金具を差し込んで紙を固定します。
これで複数の紙を同じ位置にキープできるんですね。
ここで色鉛筆が登場。 鼻や目の前後の位置を線で結んで、中割りを描くときの補助にします。
中間の絵を作るということは、2枚の原画を比べてちょうど真ん中に描けばいいんですよね……、と思っていたらちょっと待った! 実はそうではないのです。
絵は平面でも頭の中では立体で考える
人間の頭は球体なので、角度が半分だけ回転したとしても、正面から見た位置は真ん中にはならないのです。
顔から出っ張っている鼻はよりその影響を考慮して位置を決めなければいけません。
アニメは2次元ですが、アニメーターは立体で想像しないといけないんですね。めちゃくちゃ奥が深い!
だって1枚目では見えていなかった奥の目や髪が、2枚目では見えてるんですよ。
どの位置にどんな感じであったのかは想像するしかないわけです。
だからこそデジタルアニメ学科では人体の骨格や筋肉を勉強し、模写を繰り返して立体感をつかむ訓練をしていくそうです。
2枚の原画を頻繁に見比べるので、気が付いたら「アニメーターっぽい左手」になっていました。そりゃこの持ち方になるわ。
他分野の先生たちも四苦八苦しながら描きました。
原画を透かせているときはそれっぽく感じるのですが、ライトボックスを消して自分の絵だけが見えるようにすると泣きたくなります。
とはいえデジタルアニメ学科の入学生たちも「アニメ好き」が大半らしく、絵を描くことに関しては似たようなレベルばかりだそうです。
前のモニターには先生の手元が映し出されているので、作業のポイントをそのまま参考にできるのも便利ですね。
3DCGアニメーション学科の山本先生は普段から3Dモデルを扱い慣れていることもあって、原画を立体でとらえることができているようです。立体感大事。
2年間でアニメ作品が作れるまでに
解説を聞きながらとはいえ、今回は1時間近くかかってしまいました。
実際にはここから清書、撮影、着色、背景セットとまだまだ作業があるそうです。
低コストな作品でもこの1枚で0.1秒程度しか持たないそうで、30分アニメを作ろうと思うと大変ですね。
それでも2年経つ頃にはアニメ作品を自作できるレベルになるとのこと。
作業体験したあとで観ると、これめちゃくちゃうまいです。
さいごに
鉛筆や定規とともに置かれていたこの謎の金属板。
何に使うのかと思ったら、目的の場所だけが穴から覗くようにして消しゴムをかけるそうです。
普段関わらない分野であっても、こうやって体験するといろいろな知識や工夫にあふれていることがわかりますね。
できあがった成果物を見るだけでなく、その制作過程を知るのはすごく勉強になりました。
今後も他分野の授業を体験する機会を持っていきたいと思います。
それとアニメをもっと大切に観ようと思います。
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